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カーボンナノベルトの一挙多官能基化に成功 – 分子性ナノカーボン材料の応用研究を加速する発見 –

当研究室のカーボンナノベルトの一挙多官能基化反応の開発に関する論文がAngewandte Chemie International Edition誌に発表されました!

 

Twelvefold dearomative esterification of (6,6)carbon nanobelt

Tsubasa Okumura, Daiki Imoto, Yuri Arachi, Akiko Yagi, Takehisa Maekawa, Kenichiro Itami

Angew. Chem. Int. Ed. 2025, Early View.

DOI: 10.1002/anie.202510544

 

炭素原子が筒状に連なった大環状分子であるカーボンナノベルトは、その興味深い化学構造と物理的性質から70年近くにわたって多くの科学者の関心を集めてきました。当研究室が2017年に(6,6)カーボンナノベルト((6,6)CNB)の合成を初めて報告して以降、世界中でさまざまな種類のナノベルトが合成され、今日では有機エレクトロニクスや超分子化学などの材料科学の枠を超えて、生命科学分野でも応用研究が展開されつつあります。ナノベルトを積極的に活用した応用研究を加速させるためには、その構造や性質を自在に変える技術(直接官能基化)が重要になります。しかしナノベルトの直接官能基化は制御が難しく、これまで限られた例しか報告されていません。

 

(6,6)CNBが反応性に富んだアントラセンと呼ばれる骨格を周期構造に持つことに着目し、この反応性を利用して(6,6)CNBの直接官能基化の実現に挑み、金属マグネシウムを介した位置選択的なエステル基付加反応を発見しました。この反応によって12個のエステル基が付加した多官能基化CNBを得ることに成功し、(6,6)CNBの溶解性を劇的に向上させました。 さらに、筒のような大環状構造をもつ多官能基化CNBの内部空間に特定の分子を取り込む「ホスト-ゲスト特性」を調べたところ、(6,6)CNBがメチルビオロゲンのような正の電荷をもつ有機分子を筒内部に取り込まないのに対し、多官能基化CNBは弱いながらも取り込むことが分かりました。他にも、リシンやアセチルコリンのような生体内に存在する正の電荷をもつ分子が内部空間に取り込まれることも見出しました。理論計算を用いた解析から、このホストーゲスト特性の発現は多官能基化に伴って(6,6)CNBが剛直な構造から比較的柔軟な構造へと変化したことが要因だと突き止めました。

 

今回の研究では、従来では困難だったカーボンナノベルトの直接化多官能基化を可能にする新しい方法を開発しました。「溶解性が低い」、「個々の応用に合わせた性質のチューニングが難しい」などのナノベルトの応用展開を阻んでいた問題を解消し、ナノベルトがもつユニークな特性を利用した研究がより一層加速することにつながります。具体的には、多官能基化によってナノベルトの溶解性を向上させることで、タンパク質や糖などの生体高分子などと組み合わせた新たなバイオマテリアルの開発が可能になります。さらに、ホストーゲスト特性の可変的制御が可能となったことで、分子センサーや超分子材料への応用展開が加速すると期待されます。

 

イメージ図は名古屋大学ITbM高橋一誠講師により作成

 

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