合成化学は価値を創造できる、最高にクリエイティブな学問です。想像力(imagination: 分子設計)と創造力(creativity: 分子連結・変換技術)さえあれば、標的は尽きることはありません。必要なのは分子模型と力量ある化学反応です。さらにいえば、物性や機能にも無限の可能性があります。フラーレンの研究が象徴的ですが、新しい炭素のカタチには、発見当時には予想すらしなかった全く未知あるいは破格の新物性や新機能が隠されているものです。美しいものには必ず機能が宿ることは歴史が証明しています。
分子には世界を変えるチカラがあります。科学の歴史を紐解くと、新分子の創製・発見や破格の物性や機能の発見といった分子自体に関わる発見が非線形のブレークスルーを生み出してきました。また、常識では関連性が明らかではない分子や分野をつなげることによって新しい価値が生まれ、イノベーションへと昇華されることもあります。スティーブ・ジョブズの名言 “connecting the dots” に明快に示されたイノベーションの真髄です。
私たちは上記のイノベーション因子を同時に満たす分子を創造することを目指しています。構造美と破格機能を併せもつ唯一無二の分子を創製し、様々な分野間の境界領域で自らの分子を活躍させるとともに未踏領域を開拓することを目指しています。主に分子ナノカーボンにフォーカスして、その画期的な分子編集・操作法の開発(ナノカーボン・クリック化学)、破格マテリアル機能の創出(分子ナノカーボンマテリアル科学)、生物学・創薬展開(分子ナノカーボンバイオロジー)の3本柱で分子創造化学を推進していきます。