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昆虫内ナノカーボン合成 – ウンチのなかに新機能性物質 –

当研究室の昆虫内ナノカーボン合成の論文がScience誌に発表されました!

 

In-insect synthesis of oxygen-doped molecular nanocarbons

A. Usami, H. Kono, V. Austen, Q. M. Phung, H. Shudo, T. Kato, H. Yamada, A. Yagi, K. Amaike, K. J. Fujimoto, T. Yanai, K. Itami, Science, 2025, 388, 1055–1061.

DOI: 10.1126/science.adp9384

 

これまで天然物や機能性分子は、フラスコを用いた従来の有機化学や酵素を用いた試験管内(in vitro)での合成法によって作られることが常識でした。合成化学における新たな物質創製方法論を開拓する中で、我々は「多様な酵素を高密度にもった昆虫に分子を食べさせ、新しい機能性分子を作ってもらう」かなりクレイジーな試みを行いました。その結果、メチレン架橋[6]シクロパラフェニレン ([6]MCPP)やシクロパラフェニレン ([6]CPP)などのベルト状分子ナノカーボンを農業害虫として知られる「ガ」の一種であるハスモンヨトウの幼虫に食べさせると、MCPPやCPPの安定な炭素-炭素結合の間に酸素原子が1つ挿入した新しい分子ナノカーボンが生成されることを発見しました。昆虫によって非天然の機能性物質の変換・合成が可能になることを見出した世界初の例です。分子生物学実験や各種生化学実験により、本酸素挿入反応がハスモンヨトウのもつCYP X2とCYP X3という酵素の作用によって進行していることを明らかにしました。また、その詳細な反応メカニズムを分子動力学シミュレーションや量子化学計算によって明らかにしました。農業害虫として世界中から「嫌われ者」として扱われてきたハスモンヨトウが、我々にとってはヒーローとなりました。

 

イメージ図は名古屋大学ITbM高橋一誠講師により作成

 

本成果は、化学的手法や物理的手法による合成・変換が常識だった材料科学分野に「生体システムを用いた機能性分子創製」という全く新しい方法論を提供するものです。新物質創製の分野に大きく貢献するだけでなく、ゲノム編集技術や指向性進化法を用いることで、より広範な分子への応用が期待されます。

 

理研プレスリリース:https://www.riken.jp/press/2025/20250606_1/index.html

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